トラピストビールのご紹介
トラピストビールとは、トラピスト修道院、厳律シトー修道会で修道僧により醸造、管理されているビールです。
古来より宗教とお酒は深い関わりを持っており、キリスト教でも大きな役割を果たしました。
言われは色々ありますが、キリストは最後の晩餐で弟子たちにパンとワインを自ら分け、「パンは私の肉であり、ワインは私の血である。」と言い、伝承儀式としてミサにて行われています。ブドウの栽培が困難な寒冷地では、ワインの変わりにビールが使われており、聖餐の儀ではパンとワインやビールを皆で分け、祈りを捧げます。
また、紀元初期からヨーロッパを脅威に陥れたペスト菌やコレラ菌ですが、生水から感染することを知った聖人たちは民衆を守るため、ワインやビールを飲むことを説きました。ワインやビールはアルコールを含んでおり、ビールに関しては一度煮沸を行うので、生水と比べ飛躍的に安全性は高い飲み物でした。この様な背景の基、キリスト教と共にトラピストビールは民間に広まっていきます。
以後、各地の教会では巡礼者に対し、宿泊施設と食べ物、ワインやビールを提供することにより、キリスト教は拡大の一途をたどります。
また、修道僧は博学な人が多く、医学や薬学、醸造額に長けていました。病院の役割を果たしていた教会も数多くあり、安全な水分として、栄養価の高い飲み物として、香薬草を使ったお薬として、ビールは修道院にはなくてはならない物になっていきます。
時代は流れ、宗教弾圧、フランス革命、世界大戦等により、教会は破壊や略奪が頻繁に行われ、ビールの醸造を行う修道院は徐々に減っていきます。
現在、世界中147箇所の厳律シトー修道会の修道院のうち、ビールが醸造されているのはベルギーに6箇所、オランダ1箇所です。
厳律シトー派の戒律は厳しく、約40日間の断食があります。この間修道僧たちは飲まず食わずで労働に励みます。ただし、寒さと飢えを凌ぐ為、ビールを飲むことだけは許されています。ビールは「液体のパン」として、安全性、栄養源として断食時の修道僧たちの生命線なのです。
すべてのトラピストビールのグラスは、醸造されている修道院の聖杯をモチーフに作られており、重厚さの中に繊細な細工が施されています。
開栓の福音の後、清らかなる水が聖杯に注がれる様にビールが注がれ、立ち昇る芳醇な香りの中、様々な色合いと泡のコントラストを眺め、グラスの淵に口を・・・持っていく前に・・・
主に祈りを・・・
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